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モータード工房08イメージ


今回は、レースの流れや、どんなタイミングでどのようなことをやっているのか、 メカとライダーのやりとりなんかを時系列で解説してみようかと思っています。

2009年8月1日~2日MOTO1オールスターズ第5戦SUGO大会
<Photo:篠原成好>

持っていく物

マシン、タイヤ、予備パーツ(サブフレーム、サイレンサー、ホイール、サスペンション一式、レバー、エアクリーナー(オイル塗布済みの物)その他諸々)、オイル、各種ケミカル、工具、特殊工具、電動工具(ドリルやサンダー)、リベッター、手動バランサー、ビートブレーカー、洗車セット、ガソリン携行缶、ジョッキ、発電器、コンプレッサー、タイヤウォーマー、スタンド、テント、サインボード、テーブル、椅子、傘、合羽、軍手、ガムテープなど。結構ありますね。できれば、忘れ物がないようにリスト化しておいた方が良いです。

たいてい前日に走行枠があるので、各サーキットのゲートオープン時間に開場入りします。SUGOは私の家から30分で着くので、朝ゆっくり出てこれるので楽です。実は、前戦よりサスの仕様を変えて、伊那でテストを行ってもらったのですが、どうにもフロントのハネが治まらず、今回も仕様違いのサスを2セット持ち込んでテストする予定でした。

7:30 ゲートオープン

三苫選手と合流し、テントを建ててピットを造ります。走行は9:10からなので、その前に仕様を変更したサスを前後組み込み、使うタイヤを決めていきます。(たいてい新品タイヤを1セット半(リアのみ2本)で、それ以外は中古を使用します。タイヤ交換をして、ウォーマーを巻き、ガソリンは3L入れて走行を待ちます。

9:10

moto1クラスの走行開始。タイムはまだ計らず、様子見です。しかも、前日まで雨が降ったせいでダートがまだ使用できない状態でした。三苫選手はやっぱりフロントのハネが治まらず、ちょっとダンパーをいじっても傾向が変わらないとのこと。無理して攻めて、転倒一回

9:30

二人で結構途方に暮れますが、サスを変えても根本的な解決にならないので、基本的な整備が駄目なのではないかと思って、ステム周りをじっくり見ます。自作のステムのブレースを外すことにして、2本目の走行に備えます。また、ダート部分を使用することがアナウンスされました。

10:50

2本目の走行で変化が現れました。まだハネはあるがかなり改善されたとのこと。今まで倒し込みの初期からハネていたのが、クリップ付近でハネるようになったとのこと。このコメントでやはりステム周りが怪しいと思い、走行後ステムのトルクチェックをする。「微妙に緩い…」この部分のメンテナンスは三苫選手に任せていたので、どうも締め方が良くなかったのが原因でした。

12:00

三苫選手の奥さんお手製のお弁当でお昼ご飯。お昼の間に選手会を交えたミーティングが行われ、ダート部分の改善要求が出され、芝を除去して土のダートになりました。

13:25

3本目の走行。出ていったきりピットに帰ってきません。どうやら、かなりハネが治まったようでやっと攻められるようになってきたみたいです。少しダンパーの調整をして終了。

15:05

4本目の走行。車体の姿勢を少し変更しタイムも上がってきたので、早めに切り上げて走行終了。勝負所はやっぱりダートかなと再確認。ラインは常に変化しそうなので、その辺を明日は気をつけてみようということに。

garageopb

15:30 

三苫選手とミーティング。明日使うタイヤの順番を聞きます。この後選手会のミーティングがあるとのことだったのですが、かなり長引いて真っ暗になってしまいました。私はその間に、洗車と整備を済ませます。
たいていは洗車→オイル交換→エアクリーナーエレメントの交換→タイヤ交換(予備のホイールも)→各部まし締め→チェーン給油とこんな感じで進めます。今回は前日に車検がないので、決勝日は朝から忙しいなと念入りに準備をします。車検の際に問題となるのは、たいていサイレンサーの音量です。受からないとレースにでれませんからね。

18:00

長引いた選手会のミーティングも終わり、マシンの整備も終わったので、
貴重品を車に積み込んで家に帰ります(近いってすばらしい!)。
三苫選手は仙台市内のホテルに泊まります。

ブランク

決勝日

6:00

ゲートオープン。会場に着くと会場に泊まった連中が歯磨きしながら歩いてきます。

イメージイメージ

6:30

受付と車検。朝の一番の大仕事です。受付は三苫選手に行ってもらって、私は早めに車検の列に並びます。車検の際に必要な物は、マシン、ヘルメット、グローブ、ツナギ、ブーツ、車両仕様書です。ヘルメットとツナギにはMFJ公認の証明が必要で、ヘルメットは傷が無いこと(つまり激しく転倒した物はNG)、ツナギやグローブ、ブーツは穴があいていないことが条件になります。音量は今回も問題がありました。最初に計った選手の数値が異様に高い。とりあえず、軽く車検担当の人に意見を言います。だって回転数もどう聞いてもおかしかったんですから…。そうこうしていると音量測定器が違う物に交換されました(笑) まあ、サーキット側も大変なんですけどね、こちらもこれに通らないとレースにでれませんから。
三苫選手のマシンは、今回からアクラポビッチのフルエキを付けたのですが、98db時代の物なので加工をしてあります。一発でOKが出て、胸をなでおろします。

7:40

三苫選手はライダースミーティングに行きました。この間にタイヤウォーマーを巻き、私は食事をとります。帰ってきた三苫選手「ヒートレース14週に決勝22週って長すぎるって言えって某選手に言われた」と笑ってました。

8:30

朝フリー走行。ダートの2個目のコーナーの周り方が悪く、タイムが伸びないのでその辺をアドバイス。アドバイスする際は必ず良いところを誉めてから、改善すべき点を後から言います。基本的には誉めて伸ばすと言う方向です、私は。どうしようもないときは、結構開き直りますけど(笑

8:45

走行から戻ってきたらすぐタイヤ交換です。今回、朝フリー、予選タイムアタック、ヒートレース、決勝と全部タイヤ交換する予定なんです。タイヤ交換が一番優先、それはウォーマーを巻く時間を長くとるためです。次にガソリンの残量のチェックをして、足りない分を足します。いつもは予選3L、決勝4Lほど入れますが、たいてい1Lは余ります。タイヤ交換を追えると、すぐにコースインゲート脇に車両を移動してウォーマーを巻きます。SUGOはコースが短いので予選タイムアタックで前に出ないときついからです。

ブランク イメージ

9:35

タイムアタックは4番手でコースイン。森田選手が調子が良いので着いていくように指示したところ、なんと1週目で森田選手が転倒!真後ろにいた三苫選手は森田選手を轢いてしまい転倒しそうに…。この時、森田選手は肩を脱臼したそうです(脱臼癖があるんです)。気を取り直して攻めますが、ダートの処理がまだうまくいかないようで6番手で終了。次のヒートレースに向けて、ライン取りとテクニックの助言をしました。具体的には、ダートに入っての一個目のターンはつっこみすぎないこと。2個目のターンはスピードを残して、ギャップが多いのでクラッチを切って走るのを試すこと。この2点がうまくいけば0.7秒は良くなると伝えました。

11:15

ヒートレース。2組に分かれるので、3番手からのスタートになります。スタートはちょっと失敗しましたが、1~2~3コーナーまでで2位を走る増田選手に追いつきアウトからかぶせようとしたところ、コースアウトで最後尾まで落ちてしまいました。ただし、今回はヒートレースが14週と長かったので、なんとか4位まで挽回してゴール。この時リアに履いていたコンパウンドがちょっと堅かったらしくグリップがいまいちだったので、決勝では一番ソフトのタイヤを使うことに。

12:00

お昼はカレ-を作ってもらっていたので、腹一杯食べて私は満足。三苫選手は決勝のことを考えて少な目に。

14:00

この日は暑かったのですが、このあたりから天候が怪しくなってきました。急遽レインタイヤの準備を始めます。

14:45

moto2が終わってマシンをちょっと見ている大場選手が3位表彰台だったのを嬉しく見ていたら雨が…。グリッドに整列したときには結構大粒の雨が降ってきました。急遽スタートディレイになりました。用意していたレインはコース上ではなく、ピットに帰って履き替えることに。

15:00

ピットに戻ると雨が弱くなりました。路面温度は高い。とりあえず車体から前後ホイールを外してレインを組み込む準備をします。ホイールに組んではあるので、数分で交換できますからギリギリまで天候を見極めます。佐合選手が「どっちで行くんですか?」と聞いてきました。「今のところレイン」と私は答えました。彼は私が地元なので天候の予測が出来るのではないかと思ったのでしょう。前後レインを組もうとしたとき、急に三苫選手が「ごめん、前後スリックで」と小声で言ってきました。あわてて前後スリックに戻してグリッドに並べます。こういうときはライダーの意見を優先します。

イメージ

グリッドを見ると、森田、増田、三苫選手が前後スリック。佐合、松本選手がフロントレイン、後ろスリック。前後レインは金児パパだけでした。8番手より三苫選手スタート。22週の長丁場と言うこともあったのですが、
最初のダートで金児トシ選手を抜いて熱田選手の後ろで様子を見ていましたが、後ろから谷田部選手が突っつかれはじめたのでペースを上げます。熱田選手を抜いてから、4位争いの金児リュータと佐合選手を1週の間に抜いて4位に浮上。微妙な路面の中、なんとかそのままゴールしました。

表彰台はとれませんでしたが、この1ヶ月絶不調だったことを考えると、上出来でした。

18:30

私も全戦には行けないので、いろんな人と話をしながらだらだらと片づけをしていたらまたすっかり夜になってしまいました。ほぼ誰もいなくなったパドックから家に帰りました。

だいたい、こんな流れでmoto1のレースは進んでいきます。今回はメカの視点からレースを書いてみました。選手の成績がいいとメカは嬉しいもんです。今回は、タイヤ選択で明暗が大きく分かれましたが、それもレースのおもしろさだと思います。  
やる段取りが分かっていれば、レースも楽にできるかなと思って書いてみました。

とりあえずサーキットを走り始めたあなた!レースに出て走ってみませんか?友人のあなた、メカをやってみませんか?きっと病みつきになりますよ!

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