MOTO1の聖地、INA circuit。
<Text:KRAZy / Photo:篠原成好>
6月6日、スーパーモタード MOTO1 All Stars Rd.3がMOTO1の聖地INAサーキットで開催されました。
このINAサーキットは今のスーパーモタード文化が始まった初期の頃から、モタード走行に理解をいただき、
MOTO1創設のきっかけとなったコースです。
またYassy選手や金児ファミリー(#9金児伸二、#12金児敏之、#7金児隆太)のホームコースであり
(かつては佐合選手も)、モタードスポーツの成長に大きな役割を果たしてきました。
ダートセクションが常設され、常時ダートの走行可能な数少ないサーキットのひとつです。
(ダートを走ることで土がターマック路面に出てしまい、他のスポーツ走行の支障になるんです。
なのでダート走行を日常的に可能なコースって少ないんです)
このNaganoラウンンドは、INAサーキットのこんな特徴からこのコースをホームとしている選手が 有利という一面があります。1コーナーから2〜3〜4コーナー、そしてホームストレートにつながる 最終コーナーの走り方などがポイントと言われています。ダートセクションは流して走る 地元INAスペシャリスト#9金児選手と、ダートを含め全体で攻めの走りの#Jaws選手でも
そのタイム差はほとんどありませんでした。ここがこのコースの面白い特徴です。

決勝フロントローはいつもとはちょっと違うメンバーになりました。
1/#2Yassy (松本康)/Husqvarna SM450RR/Agip Husqvarna RACING WORLD with CP spotrs
2/#18小林好美/Honda CRF450R/TE sport
3/#4Jaws(増田智義)/Yamaha YZ450F/ジョーズレーシングヤマハ+レアルエキップ
4/#7Ryuta(金児隆太)/Yamaha YZ450F/チームレアルエキップ
に続いて2列目は#6大塚、#10谷田部、#101ササヤン(佐々木貴史)、#13水庫、、、。
#3Ikki(森田一輝)は9番、#11三苫進は10番グリッドと後方スタートとなりました。
すでにご存知のように、レースに勝ったのは地元長野の#2Yassy松本康選手。HSを決めるとそのまま逃げ切っての圧倒的勝利でした。
そんなYassyはおいといて(笑)、注目したいのは2番手につけた#18小林選手。#18小林選手は今年openクラスから昇格したばかり。3番手から追う#4Jawsの猛アタックをかわし2位をキープしつづけます。180cmの長身を活かした伸びやかなライディングフォームと、ハングオンのままスライドさせるスタイルが特徴。(速さとは関係ないけど、長身のためかツナギ姿も華やかでかっこいい。ヘルメット、ツナギ、ブーツ、マシンが統一されたカラーリングで、カッコイイんです。proクラスなので、見た目もかっこいいのがKRAZyは好きです。だって真似したくなるもの)
その小林に#4Jawsは第2ダートでアタックをかけていきます。今年のJawsのマシンの特徴であるよく動くサスを使って、他のライダーが飛んでしまうジャンプを飛ばない走り。タイヤを少しでも接地させ加速し前に出ようという作戦です。これはスキーの滑降競技と同じです。飛んでいる間は何もできない。むしろ接地していることで加速も方向転換も可能になり、タイムを縮めることができる。(サスをダートでも使えるようにすることで、こんなことも可能になるんですね。硬く動かないようにするだけがモタードサスでは無いことを証明していました)
その猛アタックに#18小林選手もこらえます。レース終盤、ついに#4Jawsにつかまります。しかしその後もそのポジションをキープし結果は3位、表彰台の最後をつかみ取りました。この2〜3年表彰台はほぼ同じメンバーで占められていましたが、ひさびさの新しい顔です。2位はJawsこと#4増田選手が、4位には#7金児隆太選手が入りました。
そして5位には#10谷田部選手が入賞。Rd.1~2と欠場し、このRd.3が開幕となったんですが、さっそく入賞です。6位には#8のKTM池田選手が入りました。池田選手の入賞は久々です!
谷田部選手の開幕がこのRd.3となったのは、開幕直前にとても近しい親族にご不幸があったから。選手達はそれを知っているから、あそこまで祝福していたわけなんです。(あ〜あ、書いちゃった、、)
開幕戦のAichiラウンドでは、#18小林選手が前日の走行を行わず(つまりセットアップ無し?)決勝日のみの参戦でした。それは#10谷田部選手の“それ”を見守ったからなんです。
これはライダー個人の考えだけでは可能になりません。スポンサーとの契約があるので、多くのライダーが仕方なくレースに向かったのだと思います。小林選手のこの行為を可能にしたのは、小林選手のスポンサー様の太っ腹もあります。欠場に近い状態を許してくれたわけですから。

ここで#18小林選手のプロフィールを少し。MX-IA出身。MOTO1ではアンリミテッドクラスのチャンピオンをハスクバーナにもたらすなどの活躍をし、今年proクラスに昇格。
開幕のRd.1から調子もよく(新しいNewマシンで、且つ前日の練習走行無しで)Rd.2でも悪くない結果を残しているので、乗り換えたマシンと本人が仕上がれば上位に入ってくると関係者は想像はしてようです。proクラス期待の選手です。
あ、そうそう。小林選手はその人柄がおおらかで、本当に優しいンです。今KRAZy Web Magの表紙でも左はしの小林選手のあの笑顔を見てください。この写真はその小林選手の一面をよく表していると思います。 関係者やライダー間ではCobee(コビー)と呼ばれ、今でもハスクチームの後輩からの相談にのっていたりします。

moto1 pro class result
1位/ #2 松本康/ Husqvarna SM450RR 2010/Agip Husqvarna RACING WORLD with CPsports
2位/ #4 増田智義/ YAMAHA YZ450F 2010/ ジョーズレーシングヤマハ+レアルエキップ
3位/ #18 小林好美/ HONDA CRF 450R/ TE sport
4位/ #7 金児隆太/ YAMAHA YZ450F 2010/ チームレアルエキップ
5位/ #10 谷田部高則/ YAMAHA YZ450F/チームフィンガーオート&IAS
6位/ #8 池田孝宏/KTM 450SMR/ Orange Club うず潮レーシング福山
(表彰は5位まで)


予選レース、#1をつけた坂牧選手がまさかの3回スリップダウン。その結果、予選通過できず。「また、やっちゃったです。。。」と#1坂牧選手。
その結果PolePositionを得て、HSを決めたのは地元#45松本和資選手(アルタイヤハスクバーナレーシングチーム)。それに続いたのはKTM#2深江俊文選手(OrangeClubうず潮レーシング福山)、3番手には高校生の#32天野拳選手(MotoWest with 日本航空高校)。#32天野選手は今年全日本に昇格したばかり。転倒も多いですがアグレッシブなライディングは見せてくれます。
中盤、その#32天野選手がダートで#2深江選手をパスし2位にあがる。と4位につけていた#46増田浩志選手も#2深江選手のパスに成功し3位に。トップは地元#45松本、続いて高校生#32天野、#46増田と上位をハスクバーナが独占。
#45松本は終始安定した速さで逃げ切り、MOTO1初優勝。おめでとうございま〜す!2位は高校生#32天野拳選手、3位にはカーボンハスクに乗る#46増田浩志選手が入りハスクの独占となった。KTMの#2深江選手は4位に。
moto1openクラスは毎戦新しいスターが生まれてます。とっても見応えがあります。このクラスには将来のMOTO1トップライダーの原石がゴロゴロしています。
※ レース後、このopen classのレースに関してweb上で議論が盛り上がっていたようですが、どうなったんだろう?出張中で日本に不在だったのでよくわかんなかったけど。。。
【↑#45 写真】あえて昔のハスクカラー仕様の#45松本和資選手。実はproクラス#2松本選手の弟になります。

【↑右写真】左から次男康、長男健、3男和資の3人兄弟。長男の健は元ハスクのライダー。2男のYassyのために自分はハスクを降り、そのシートを渡したと言う噂も。
moto1 open class result
1位/ #45 松本和資/ Husqvarna SM450R / アルタイヤハスクバーナレーシング
2位/ #32 天野拳/ Husqvarna SM450R / Moto West with 日本航空高校
3位/ #46 増田浩志/ Husqvarna SM450R/ RPベアー&DRIP Racing Products
4位/#2 深江俊文/ KTM 450SMR / Orange Club うず潮レーシング福山
5位/ #6 福沢武/ Kawasaki KX450F/ TEAM アクト
6位/ #4 川留健一/ Honda CRF450R / Bram Racing
(表彰は5位まで)

ハスク#2山下(アルタイヤハスクバーナレーシングチーム)とSuzuki#12大西(98%RACING & SRF sport)の戦いになりました。
今回は、今まで以上に面白かったです。ここまでのドッグファイトは久々かも。「抜かれたら抜き返すっしょ!やっぱ!!」という何度もトップが入れ替わる激しいバトル。(記録しているコッチは大変ス!この2人からず〜っと目を離せないから他の展開を記録できませんでした。一瞬でも目を離すとトップが入れ替わっていたりするんです)
TOPICSでも書きましたが、ロード出身(#2山下マー)対モトクロス出身(#12大西ケンタロー)なので、この2人は走り方が全く違います。またこのINAはダートとターマックの差がそれほど無いため、チャンスがあればお互いにどこでも仕掛けてきます。
格闘技なみの接触バトルの結果、勝ったのはマーこと#2山下+ハスク。「このままじゃ、終われないないでしょ〜」と笑顔で答えてくれた#12ケンタロー。予定ではRd.4は参戦しない予定だったはずなんですが、このバトルで火がついたようです。ケンタロー選手、Rd.4福島で待ってま〜す。(「ケンタローくんて、以前に比べてちょっとシブくなってステキかも!」とKRAZyの女性スタッフの声が、、)
【↑写真(最下段)】このふたりは旋回方法が違います。同じなのはアタマがフロントフォークの直線上にあるということ(Rタイヤが流れるのが怖いというのはこの位置にアタマがきていないからの場合が多いようですよ)。つまりリアタイヤが滑って流れても、フロントさえ流れなければ頭の位置は動かない。だから、どんなに流れても怖くないんですね。オフでもこれは同様です。アタマが動くと怖さが倍増しますからね。チナミに#2Yassyや#9金児パパは、多くのライダーに比べ少し後ろ側に位置します。

moto2 class result
1位/ #2 山下政弘/ Husqvarna SM250R /アルタイヤレーシングハスクバーナチーム
2位/ #12 大西健太郎/ SUZUKI RM-Z250 / 98%RACING & SRF SPORT
3位/ #19 竹下位里/ KTM 400EXC-R / TRW-Racing
4位/ #25 三浦元紀/ YAMAHA YZ250F / ナガサカレーシンング
5位/ #75 村上晃/ HONDA CRF250R / Team Holstein
6位/ #76 戸田道夫 /SUZUKI DR-Z400SM / Moto West
(表彰は5位まで)

2009年からmoto1クラスは「MOTO1のプロ化を目指すクラス」とMFJモタード部会で決定されました。名称はmoto1 proクラス。20名程度の選ばれたライダーで構成されます。「プロ化する」とはそのパフォーマンスでお金を稼ぐという意味だと思うのですが、わかりやすく言うなら「お客様に見てもらい“かっこいい!”とか“真似したい!”というような感動をしてもらうこと」ではないでしょうか。ようやく他のスポーツと同じ意味でのプロを目指す時代になったのだと思います。「二輪モータースポーツ人気は下がるばかり」と言われています。原因はどこにあるのでしょうか。MOTO1は生まれたばかりのスポーツです。ゼロから始めるのですから、純粋に「お客様が喜び、観に行きたくなる、応援したくなる、または参加したくなるスポーツ」にできる可能性があります。モタードスポーツの最大の魅力は、狭いスペースでも行えることだと思います。サーキットではなく街中でも開催でき、モータースポーツに接点が無かった方々にも直接触れていただけることが出来る数少ないモータースポーツです。二輪モータースポーツのPR部門と言ってもいいのではないかと思うのです。もうひとつの魅力は、他のモータースポーツに比べ敷居が低いという点もあると思います。その意味でも多くの方が参加しやすいモータースポーツです。やるのも容易、観ても楽しく、観ていただくのも容易な数少ないモータースポーツです。
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