2024.05.15
なぜJECは人気があるんだろ。Part1
◾️なぜJECは人気があるんだろ / Part1
「ホヤは美味い。最初はわからないかもだけど、一度知るとやめられない」-15.May.2024-
JECはオンタイム制というルールで行われます。整備修理は選手自身しかできない(※)、時間通りに周回しなければならない、競い合うのはタイムアタック区間のタイムの合計、などなどクロスカントリーレースに比べ多くのルールがあります。
ぶっちゃけ、とっつきにくい・・・しかしそこが人気の秘密のようです。
ホヤはなかなか美味さがわかりづらい食べ物です、がその美味さがわかるとやめられない。のと似ている・・・? あのピカソもワケがわからない絵画ですが、見方がわかると突然パッとわかるようになる・・・こんな感じ?
自分はもっぱら取材だけでしか接してこなかったですけど、観てて面白いレースだなぁと思っています。
▲クロステストを走る#15沼田選手、これは2日間にわたるレースの最終ラップのクロステストのシーンです。IAのトップの選手も疲れ切り、ここのコーナーではバランスを崩す選手が多かった。しかし北海道から参戦のやや年齢高め(笑)の#15沼田誠司選手は緊張感を保ったまま綺麗に立ち上がっていきました。沼田選手の目がカメラのレンズ越しにも見えたような気がして、なんか感動したことを覚えています。DAY2と呼ばれる2日目は、1日で6Lapが課されます。1Lapの中にタイムアタック区間(テスト区間と呼びます)が3箇所。その三つのテクトを繋ぐのがルート。今回はこのルートが非常にタフでした。トップライダーが疲れ切って、なんでもないところでパタリと倒れるくらい。
▲テスト区間でタイムアタック中の#2釘村忠選手。少しでも加速しようとシートに荷重をかけながらコーナーを立ち上がる。ここも上と同じ「クロステスト」と呼ばれるテスト区間。「クロス」はモトクロスからきており、人口のコースを走ります。タイトなコーナーがいくつもある神経を使うコースデザインです。できるだけ効率のいいライン、効率のいい加速とブレーキングが必要となります。このオンタイム制エンデューロではタイムを競うので、基本的には一人でコースを走ります。
▲こちらは#13榎田諒介/エノキダリョウスケ選手。今回2日間総合で4位に入る活躍を見せてくれました。中部(愛知)がホーム。昨年はスポットでの参戦だったので#13ですが、全戦参戦すれば上位に食い込む選手です。それにしても#13榎田選手はタフでした。
▲こちらはテスト区間とテスト区間を繋ぐ「ルート」。このルートがあるのがJECのオンタイム制エンデューロの特徴の一つです。争っているわけではないので楽じゃん、と思いますよね。時間制限がありその時間内に走り切る必要があります。アクセルを開けていけばなんとかなるのではなく、ゆっくりですが常に車体をコントロールするコースデザインはボディーブローのように疲労が溜まる設定でした。最高峰クラスのIAとその下のIB、は初日5Lap。DAY2は6Lap。そしてタイムアタックのテストが毎Lap3回行われます。テストが18回、その間のルートは果てしなく長いです。IAですら、なんでもないところで転倒するシーンも。
◾️テストとルート
JECのこのオンタイム制エンデューロのルールは決して簡単ではないです。が、細部を気にせず、大まかに捉えるとわかりやすいと言われています。
・テスト区間①エンデューロテスト
・テスト区間②クロステスト
・テスト区間③エクストリュームテスト
1Lapの中に、複数の「テスト区間」が用意され、各セクションで計測したタイムの合計で競います。それぞれのテスト区間を繋ぐ道を「ルート」と呼びます。
ルートは場合によっては一般道も使いますから(北海道日高大会や海外など)、速度制限を守る必要があります。ルートは決められた時間までに次のポイントに行くようになっています。早すぎてもだめですし、遅いのはもっとダメ。
「なんだ楽じゃん」と感じますよね。実はそうでもないンです。
▲岩盤と、岩のころがる細い沢には倒木も。まるでジャングルです。というか日本も亜熱帯、これが日本らしいコースなのかも。タイやインドネシアなどのエンデューロシーンも日本に似ていてこんな感じですよね。欧州の石が混じる渇いた土のコースとは全く違っています。日本でenduro-GPやISDEが行われるとしたら、水と泥のレースになるのかも。
◾️テストは簡単に。ルートは難しく。
このSUGO大会は以前からこの「テストは簡単に。しかし、ルートは難しく」という傾向があるように感じます。今回は特にこの特徴がよく出ていたのではないでしょうか。
「難しいというか、タフなルートにしたかな。とにかく沢をできるだけつないで、長くしました」と答えてくれたのはSUGO大会のコースデザインと造成を行なって3年目の高橋豊美さん。SUGO界隈や東北エリアではトヨミサンで知られています。
「沢をできるだけ繋げて使いたかったので、ルートのコースどり(山の中のどこを通るかのコース設定)が難しかったです。」とは、大崎充浩さん。大崎さんも長くこのコース作りには参加しています。SUGOのこの山の中をよく知っています。
「藤原さんも言ってたように記憶してます。 そうなんですよ『ルートはオフロード走行の基本ができていれば難しくはない。がこれができてないと、なかなか疲れる』というコース設定になっています。今回は長かったし、タイム設定もよかったのかな」と答えてくれたのは伊藤克哉さん。伊藤さんもSUGOのこのエリアには詳しいです。
「最近のエンデューロの方は初心者の方も走破力が上がってるから、多少タフにしてもいいんじゃないかな、って進言しましたよ。いい感じだったでしょ。」と言ったのは女性ライダーのつえぽんこと橘ちえさん。
今回の全コースを造るにあたっては4ヶ月弱かかっているそう。1月の年明けからはじまり、まずは草刈りや倒木処理を行い、仕上がったのはなんとDAY1当日の朝。前日金曜日の雨で倒木が増えていたんだとか。皆さんほぼボランティアです。
※藤原さんとは、このスポーツランドSUGO大会を仕切っていた藤原さんのことです。元ヤマハファクトリーライダーであり、WR250Fの開発ライダーでもあり、また海外のエンデューロレースにも参戦経験のある方。KRAZyも以前かなりお世話になっていました。
▲これは「ルート」を走行中のNBクラスの選手。今回、このルートがきつかったようです。長さもあるんですが、そのルートの多くが沢を使っていたのですがなかなか疲れます。見た目以上にグリップする路面なんですが、疲労が蓄積していきます。タフなレースとなりました。
Part2に続きます。
このオンタイム制エンデューロのJECではテストと言う言葉に特徴があります。「試す」と言う意味でしょうか。マシンの整備修理もライダー自身しか行えません。
ピットに入ると多くのスタッフが集まりタイヤ交換や壊れた部分を修復、と言うシーンはありません。ライダーが自ら行います。ライダーに必要な技量の一つに「マシンを正常に保つ」があると考えているからのようです。お手軽さやラクチンが最大価値の時代にとてもタフな考え方です。タフさが試される、そこが好きです。才能ある人よりタフな人に自分は憧れちゃいます♪
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