2025.10.25
スーパーモト2025 Rd.6 奈良/S1-PRO「負けられない、勝たなければならない、R6」
■オールジャパンスーパーモト2025 Round6 奈良/名阪S1 PRO
「チャンピオン争いは終盤。もう負けられない日浦、勝たなければならない小原」-19.Oct.2025-
10月11-12日、名阪スポーツランドでオールジャパンスーパーモト2025 Round6 奈良/名阪が開催されました。
この奈良/名阪ラウンドはターマックとダートセクションの比率が5:5という世界でも珍しいコースデザイン。MX出身などのダートが得意な選手には有利であり、ロードレース系選手には手強いコースとなっています。
そして今回はモトクロス式のスタートが採用。MXスターティングマシンを使っての横一列のスタートです。このスターティングマシンでのスタートは慣れが必要で、スムーズにスターティングマシンを乗り越えないと車体が横を向いたりなど直線的な加速できません。また横一列スタートなので1コーナーで接触しやすいなどがあります。
自分は以前モトクロスをやっていたのですが、このマシンによるスタートが苦手でした。1コーナーに全選手が密集していくのもなかなかの恐怖(反面、闘志も湧くけど)。見た目以上の難しさがあります。

▲この名阪スポーツランドでのレースは今期2回目。1回目は8月に開催されています。この図はその8月時のもの。今回はスタートがダートセクションになり、フィニッシュはターマックのホームストレートになりました。
■S1-PRO Round6
ここはS1-PROクラスのレポートとなります。最高峰のクラスとなり、マシンはレーサー450cc(2ストの場合は250cc)を使います。
現在この最高峰クラスのS1-PROは昨年のチャンピオン小原ケント選手と(プログラムの表紙はこの小原選手です)、1昨年のチャンピオンの2/日浦ダイジロウ選手の戦いとなっています。ポイント差は11point、大きいとも言えますが小さいとも言えます。このR6の結果がチャンピオンの行方を大きく左右することになります。
この二人、実はとても対照的です。スーパーモトが今面白いのは、この二人の個性の差がその一因であることは間違いないと思われます。
1/小原堅斗・・・モトクロス出身。当然ながらダートセクションが得意。ジャンプセクションは当然ですが、深いワダチやあれたダートセクションの速さはピカイチ。東北の岩手花巻出身。マシンはカワサキ。
2/日浦大治朗・・・ロードレースの現役選手。鈴鹿8耐や全日本ロードJSB1000にも参戦しています。当然ながらターマックセクションの速さはズバ抜けています。とくに雨のターマックは圧倒的な速さを見せます。鈴鹿サーキットのある三重鈴鹿在住。マシンはホンダ。
と、得意なセクションが違っておりそこが見どころとなっています。
つまりダートセクションの長い今ラウンドは1/小原選手が有利ということになります。
しかし11ポイント差で追う2/日浦選手もここで負けるわけにはいきません。次の最終ラウンドは日浦選手のホームで行われ、やや有利。とはいえ、ここでポイント差を少しでも縮めておきたいところ。
この2/日浦選手、ターマックは当然速いのですが、実はダートセクションもロードレース系選手とは思えないほどに上手いのが特徴です。この名阪のサンドコース(砂のコース)は比較的得意としています。

▲元MXIAの選手がヘビーマッドなダートセクションでの日浦選手の走りを見て「トラクションのかけ方が本当に上手いし、マシンコントロールもすごい。うーん、これはモトクロスIA並みだね」とこたえています。
↓こちらが前ラウンドのRound5までのリザルトとポイントです。S1-PRO上位6名
■タイムアタック
予選はタイムアタックで行われます。これはレース日の朝に行われ、好タイムを出した順から自分の好きなグリッドを選ぶことができます。
最短距離となるグリッドか?路面がなるべくあれていないグリッドか?1コーナーのインに入りやすいグリッドか?(今回の1コーナーは右コーナーなので右側のグリッド)、もしくは隣のいないグリッドか・・・。
そんななか1番タイムを出したのはなんと2/日浦選手、2番タイムは1/小原選手となりました。これだけでは分かりませんが、今ラウンドは小原選手が有利とは言えないということです。日浦選手はこのダートセクションを決して苦手にはしてないということです。
小原選手がどれだけホンキでタイムアタックを行ったのかにもよりますが・・・。

▲ダートセクションでのMX式スタートとなった今ラウンド。大まかにいうとこんな感じ。中央にこのスターティングマシンを操作するBOXがあり、グリッドは右と左に別れています。最短距離となるのは左ブロックの中央あたり。しかし、右側からうまくインに入られるとアウトから来た選手を弾き出すことができます。横一列のスタートですから横の選手と接触しやすいです。ハンドルが当たるとそのままクラッシュとなります。そういう意味では隣のいないグリッドもスタートを決めやすいとも考えられます。また、路面が荒れていたり、曲がった轍のあるグリッドはそれにハマりやすいので避けた方が無難。路面がフカフカなところとしまっているところがあってこの差も大きい(SUGOはアウト側がシマっています)…などなど、色々な要素があります。
どのグリッドからでもそれなりの順位で1コーナーに飛び込める自信がある場合、この横一列スタートのタイムアタックを頑張る必要がありません。まぁ5番手くらいまでに入っていればいいかな、と考えるからです。
■Race1
ホールショットを決めたのは1/小原ケント選手、そこに5/金子選手、11/川上選手、2/日浦選手、12呉本選手の順で続きます。

▲レース1のスタート直後の1コーナーです。よく見ると11/川上選手(1/小原選手の後方)はすこし出遅れていますが、しっかりイン側についており、そのままするりと前に出て4番手で1コーナーを抜けています。巧みなスタート&1コーナーの処理でした。
Lap2。2/日浦選手が11/川上選手、5/金子選手をかわし2番手に上がります。
序盤は1/小原、2/日浦、5/金子、11/川上、12/呉本、13/増田の順。MX式スタートを上手く決めた選手、ダートセクションを得意としている選手が上位に並びます。
トップ争いは1/小原選手と2/日浦選手となっていきます。その差はわずか。2/日浦選手はいつでもアタックできる距離にピタリとついています。そしてこの2人は徐々に後続との距離をあけていきます。
残り2Lap、ついに2/日浦選手がトップ1/小原選手との距離を詰めます。アタック開始です。
そしてついに最終ラップ、ダートセクションに入ってすぐの左コーナーで2/日浦選手が1/小原選手をかわしトップに立ちます。

▲ついにトップに立った2/日浦大治朗選手。なんとダートセクションでトップを奪います。
がしかし、トップに立ったその直後、ブレーキングをミスしなんとスリップダウン・・・1/小原選手が再びトップに立ちます。
チェッカーを誰よりも先に受けたのはグリーンのマシンに乗る1/小原選手でした。強いです今年の1/小原選手は。
2位には2/日浦選手が入りました。3位にはこの2人を追った5/金子カズユキ選手が入りました。
■Race1 Result

▲4位に入ったのは12/呉本朝也選手。呉本はクレモト、朝也はトモヤと読みます。急成長の18/沖選手の陰に隠れていますが、この12/呉本選手も急成長株、注目です。

▲5位に入ったのは超ベテラン13/増田浩志選手。全日本の始まる以前からスーパーモトレースに参戦し今も現役。自分の現役時代はテントを借りたりといろいろとお世話になりました。

▲6位に入ったのは15/小鹿翼選手。コジカではなくコシカと読みます。九州から参戦です。鮮やかな蛍光ピンクがトレードカラー。覚えてください。兄弟でスーパーモトに参戦中。

▲ダートセクションは土ではなく、サンドです。MXタイヤでも上手く走るのが難しいのですが、スーパーモト用の幅の広く、また溝の少なく路面に食い込まないタイヤでの走行はなかなか難しいものがあります。以前、こういうところをFのみ細いタイヤ(スリック)で走ったことがあるんですが、自分は細い方が走り易かったです。あの千葉智選手も細いタイヤを選んでいました。理由は教えてくれませんでしたが。
続くつづく。次はS1-PROのRace2です。
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