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2024.11.23

全日本スーパーモト 2024 R7 愛知 S1-PRO「最終ラップ、最終コーナー」

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◾️全日本スーパーモト2024 R7 愛知/美浜 S1 PROクラス
「最終ラップ、最終コーナーの奇跡。そして新チャンピオン」
-23.Nov.2024- 

 11月9-10日、愛知県知多半島にある美浜サーキットで全日本スーパーモト/スーパーモトジャパンRound7 FINALが開催されました。

 

 最高峰S1プロは#2小原堅斗選手がチャンピオンを獲得。レース1・レース2ともに最終ラップの最終コーナーでトップを奪いそのままチェッカー、2勝を挙げドラマチックなレースをみせ2024年のチャンピオンを獲得しました。

 

 今日は今までとは違う角度からレポートしてみます。

 
 

#2-1
▲2022年に続き2度目のチャンピオンを獲得した小原堅斗選手。レース1・レースともに最終ラップでの逆転で2勝をあげチャンピオンを決めました。 

#2-1▲レース1。得意なダートセクションで距離をつめ#1日浦選手をかわしトップに出るも、ロードセクションでまたトップを奪われる。それを2度繰り返し#1日浦選手も警戒している中、最終ラップ最終コーナーで仕掛けます。そしてトップに・・・レース1、チェッカーを一番に受けたのは#2小原ケント選手でした。

 

◾️最終ラウンドのR7とは、どういう状況でのレースだった?スーパーモトの魅力がそこに見える?

 

 この最終戦のチャンピオン争いについて簡単にまとめてみたいと思います。ここではあえて#1日浦選手と#2小原選手を主体として書きます(#3川島ソウタ選手もチャンピオンの可能性はありましたが)。この2人に絞ることで、レースとかスーパーモトの魅力も伝えやすいし、またこのふたりのことも知ってもらえるかなぁと。他の選手の皆さんすみません。でも、スーパーモト全体の魅力を伝えることができたらそれは他の選手の皆さん(特にS1チャレンジの皆さんにも)にも意味があるのではないかと考えたからです。

 

 前ラウンドまでのポイントは#2小原選手が246pointでトップ、それを現チャンピオン#1日浦選手が238pointで追う状況。現チャンピオンの#1日浦選手は追う立場、8point差を逆転する必要があります。簡単に言ってしまえば、2レースともに勝利すればチャンピオン連覇となります。

 

 一方、#2小原選手はレース1を勝てば、レース2は4位までに入ればいい。もしくは日浦選手の直後でフィニッシュすればチャンピオン。つまりレース1がポイントになるわけです。両者、まずは1つ勝つことが必要条件。しかし、若く勢いのある選手も大勢いますから、2人だけの戦いではないのですが。

 
 

#1紹介▲ロードレースの現役ライダーでもある#1日浦ダイジロウ選手。世界耐久ロードレース「コカ・コーラ鈴鹿8耐」にも参戦しており総合5位(23年)、6位(24年)の実績があります。スーパーモトでは2019年、20年、21年、23年と4回のチャンピオンを獲得。絶対的王者と言ってもいい存在。
#2紹介
▲モトクロス出身の#2小原ケント選手。当然ながらダートセクションは得意です。2022年にはチャンピオンを獲得しており、今年から生まれ故郷の地元チームに移り、マシンもKX450にチェンジ。

 
 この最終ラウンドとなった美浜サーキットは#1日浦選手のホームコースです。ロードセクションは圧倒的な速さを持っています。が、問題はダート。ダートセクションのデザイン次第で#1日浦選手のロードのアドバンテージはなくなります。

 

 特にこのコースはダートセクションが全体の後半部分に位置し、ダートを出た後はコーナーが一つだけ。つまりダートで前に出た方がフィニッシュラインを先に通過できる可能性が高いというデザイン。つまりダートが得意な選手に有利です(#2小原選手、#3川島選手はMX出身)。しかし昨年までのダートセクションは土手ジャンプから第2ジャンプまでが比較的難易度の高いデザインでMX系選手に有利だったのですが、今年は改修されその優位性は減ったように感じました。

 

 ロードセクションは#1日浦選手にかなり分がある、一方ダートセクションはやや小原選手に分がある、と感じました。が実際は違ったようです。

 
 

#3+20紹介b

 
 

 しかしこのレースの優勝候補はこの2人だけではありません。#3川島ソウタ選手は昨年ここで1勝をあげています。また、#20佐藤ミズキ選手もレースを重ねる度に速くなっています。ダートセクションもロードセクションも同じような速さを持っています。当然、勝てるチャンスはあります。スタートで前に出ることができなくても、トップ集団がダートでの接触などでクラッシュが発生すれば(コース幅があまり無い。横に並ぶと接触の可能性がある)チャンスが訪れます。スーパーモトの面白さはここにもあります。

 

 ちなみに昨年は接触での転倒がありました。ロード用タイヤを使用しているためグリップがあまり良くない、そのためマシンはあばれやすく接触も起きやすいのです。不確定要素が多いのがスーパーモトの魅力の一つかもしれません。

 

 ※余談ですが、スーパーモトの車体はロードセクションもダートセクションもどちらも走れるように仕上げられています。サスはダートの荒れた路面やジャンプなども考慮し、比較的動く仕様のため、ロード的にはベストではない仕様です。タイヤもロードセクションでのタイムを考えロード用を使っているため、ダートではタイヤがグリップしませんし、ホイールが小さく遠心力が少ないため走破力が劣ります。それをライダーが補って走るのがスーパーモトです。マシンが暴れやすいのも、これらが要因になっているようにも感じます。またパワーがあるほど速いとはならない理由の一つでもあるかもしれません。

 

#2-4
▲チームは今年から小原選手の生まれ育った岩手の花巻に戻り、マシンも心機一転のKawasaki KX450。新チーム、新マシンにチャンピオンを届けました。 

#2-5
▲レース2はレース1で勝利しているため、4位でもチャンピオン確定。ライバル#1日浦選手が勝利してもポイント差でチャンピオンが決まります。その中であえて勝つことを狙った小原選手。レース2でのこと、小原選手がトップを狙うような走りを見せたとき、ファンは「なんでそんなことをするだ・・・今の2位のままでチャンピオンなんだから余計なことはするな・・・(なんかあって下位に落ちたらどうすんだ)」と呟きました。わかりますその気持ち。でもライダーは勝ちを狙っちゃうンですね。だからレースは面白いのかも、日常ではなかなか無いですよねこんな行動。特に成果をすぐに求められる最近は。小原選手2度目のチャンピオンおめでとうございます。写真はレース2を終えチャンピオンがほぼ確定し(正式結果が出るのは終了30分後以降です)、チームが用意しておいてくれたチャンピオンTシャツで祝福を受けている小原選手。 

ドッグファイト2
▲1コーナーへのブレーキングバトル。レース1、#2小原選手が数回トップを奪いますが、ロードセクションで軽々とトップを奪い返す#1日浦選手。現役のロードレース選手であり、ここはホーム。ロードの速さはずば抜けています。 

ドッグファイト3
▲「勝ちたいでしょ、やっぱ。(最終ラップの)第2ダートで日浦くんがジャンプを飛ばずペースが落ちたんです。そこで、行ける!って思ってアクセルあけました。(距離が)つまったので、あとは最終コーナーをインに入りクロスラインで立ち上がるだけ。そしたら前に出れちゃいました!」レース2の最終ラップの最終コーナー、トップ#1日浦選手のインを差しコーナー立ち上がりで前に出た#2小原選手。そのままの2位でもチャンピオン決定だったのですが、あえてリスクを選びます。結果は0.6秒差のトップでチェッカー。レース1・レース2ともに勝利しチャンピオンを決めました。KRAZyは20年以上この全日本スーパーモト選手権を見てきましたが、間違いなく5本の指にはいるレースだったと思います。できればダートとロードの見える最終コーナー付近で観戦したかったです。そしてレースの全てをカメラ越しじゃなく生の目で見たかったです。 

ドッグファイト2
▲レース1、レース2ともに#1日浦選手がトップに立ちレースをリード。#2小原選手は追う展開。レース1では2度ほど#2小原選手がトップを奪いますが、ここがホームでもありロードセクションでは圧倒的な速さを持つ#1日浦選手がトップを奪い返します。まさにドッグファイトという戦いのレースでした。スーパーモタードと呼ばれた時代も含めて、全日本スーパーモトは来年20周年を迎えます。小原ケント選手、日浦ダイジロウ選手というこの2人がこのスーパーモトを引っ張っていくのかもしれません。同時に、若い選手も誕生しています。川島ソウタ選手、佐藤ミズキ選手、S1オープン・S2クラスの2クラスでダブルチャンピオンを決めた佐藤ユウキ選手、女性ながら圧倒的な速さを持つ鈴木ユウナ選手。全日本スーパーモトは第2期が始まるのかもしれません。来年が楽しみです。 

◾️S1 PRO class レース1レポート / 最終ラップの最終コーナー 

 そんな中での最終ラウンドのレース1。
 レースをリードしたのは#1日浦選手。#2小原選手はその背後にピタリと貼りついて離れません。昨年まではロードセクションで大きく離されていたのですが、それほどでもありません。特に2コーナー、3コーナー、そして定常旋回のヤシの木コーナー、そこからの立ち上がりは圧倒的に#1日浦選手が速かったのですが、あまり離されることなく小原選手は追っていきます。むしろ、後方からその走りを冷静に観察しているというように見えます。

 
 

#1-1

 

 レース中盤、2番手につけていた#2小原選手がトップを奪います。がすぐさま1コーナーへの進入ブレーキングで#1日浦選手が抜き返します。

 

 その後このトップ2人はやや膠着状態に。

 

 最終ラップ、#1日浦選手と#2小原選手の距離がわずかに広がります。このまま終わるか、と思わせたその最終ラップの最終コーナーで#2小原がしかけます、#2小原選手と#1日浦選手の2人は並びながらホームストレートを駆け上がってきます。レースアナウンスも盛り上がり会場からは歓声が上がります。勝ったのはなんと#2小原選手でした。

 

 2位は#1日浦ダイジロウ選手、3位には#3川島ソウタ選手が入りました。まさかこんなことが起きるとは、というようなレースでした。

 

◾️S1 PRO class Race1 結果

 

 1/#2小原堅斗 KX450 Kawasaki Plaza盛岡 & 花巻レーシング
 2/#1日浦大治朗 CRF450R Team S.T.F.
 3/#3川島颯太 CRF450R T.E.SPORT
 4/#20佐藤瑞城 CRF450R Kcross-racing
 5/#5金子和之 CRF450R idemitsu Honda PG Racing
 6/#25小鹿翼 CRF450R K-BROTHERS

 

#2-6

 

◾️S1 PRO class レース2レポート / リスクがあっても挑む

 

 レース2はレース1の結果順のグリッドからスタートとなります。ホールショットを奪ったのはレース1と同じく#1日浦選手でした。そこに#2小原選手、#3川島選手と続きます。巧みなスタートで2番グリッドからホールショットを奪った#1日浦選手がレースをリードします。

 

 #1日浦、#2小原、#3川島、#20佐藤、#5金子の順でレースが進んでいきます。しかし、レースが進むにつれ#20佐藤がトップグループについていけなくなり、#3川島も徐々にトップ2人との間に距離が生まれていきます。レース2もトップは#1日浦、それを#2小原が猛追するという展開に。

 

 レース2はトップ争いは先の2人、それをやや離れて#3川島が追い、かなりの距離をおいて#20佐藤、#5金子が追う状況のまま膠着状態に入ります。そしてついに最終ラップへ。

 
 

#1-2

 
 

 #1日浦選手はチャンピオン連覇のためには勝つしかありません。一方、#2小原選手はこのままの2位でチャンピオン決定です。つまり、ほぼ結果は出ています。がしかし、#2小原選手はねらいました。レースに勝つことを望みました。

 

 第1ダートのバンクコーナーで接触しやや2人の距離があきます。2人の差はここで初めて大きくなります。しかし#2小原は諦めません。その後の第2ダートで#1日浦の僅かな隙をついて仕掛けます。一気に距離をつめ、その第2ダート出てすぐのヘアピン最終コーナーをアウトから入りクロスラインで#1日浦選手のインを狙います。それはうまく成功し、#1日浦選手の横に並びます。アクセルを開け、リヤタイヤを僅かに流しつつホームストレートを立ち上がる2人。前に出たのは#2小原選手でした。チェッカーフラッグが最初に振られたのは#2小原選手でした。最終ラップ、最終コーナーの奇跡が再びおきました。いえ、奇跡ではなくリスクを負い挑戦したことで実現させた勝利でした。

 

 2位は最後までトップ争いを演じた#1日浦選手。3位にはやや離れて#3川島選手が入りました。

 

 しかし、チャンピオン争いはこれで終わりではありませんでした。やっぱスポーツっていいなぁと思える瞬間にこの後出会うことになります。

 

◾️S1 PRO class Race2 結果

 

 1/#2小原堅斗 KX450 Kawasaki Plaza盛岡 & 花巻レーシング
 2/#1日浦大治朗 CRF450R Team S.T.F.
 3/#3川島颯太 CRF450R T.E.SPORT
 4/#20佐藤瑞城 CRF450R Kcross-racing
 5/#25小鹿翼 CRF450R K-BROTHERS
 6/#18内山瑛須 CRF450R ACE PROJECT

 

◾️S1 PRO class 2024シリーズポイントランキング

 

 1/296pt #2小原堅斗 KX450 Kawasaki Plaza盛岡 & 花巻レーシング
 2/278pt #1日浦大治朗 CRF450R Team S.T.F.
 3/199pt #3川島颯太 CRF450R T.E.SPORT
 4/183pt #20佐藤瑞城 CRF450R Kcross-racing
 5/172pt #5金子和之 CRF450R idemitsu Honda PG Racing
 6/113pt #10新沼伸介 SMK450 TM Moto Japan Supermoto

 
 
 

snap路面+ゼブラ

 
 

 全クラスのレースレポート(S1プロも含め)詳細はまた追ってレポートします。少々お待ちください。・・・あ、カメラマンから写真が届いたみたいです!

 
 

◾️「負けました!」

 

 2024年のファイナルラウンドは終わり、すでに暗くなり始めていました。そんな時、突然日浦選手が小原選手のところにやってきます。いきなり小原選手に握手を求め頭を下げ「負けました!」と言ってきたのです。
小原選手もそれに応え、頭を下げます。そして日浦選手は小原選手のチーム員全員に握手、そして「負けました!!」と挨拶・・・。

 

 日浦選手かっこいいな!というか、この2人がこれからのスーパーモトを引っ張っていくのだろうな。素敵なライバル関係だなぁ。と思いました。

 
 

ドッグファイト
▲これがその握手の瞬間。というか実は突然すぎて撮影できませんでした、ので日浦選手にお願いしてもう一回やってもらって撮りました。「いやですよ〜(苦笑)」っていうのを無理やり。この「負けました宣言と握手」には、かなりの勇気が必要ですよね。そもそもやらなくてもいいことですし。それをあえてやった。選手が速く強くなるにはいいライバルが必要と言われますが、この2人はそんな関係なのかもしれません。 

 レース2が終了しチャンピオンが決まった瞬間、自分はあえて、負けた日浦選手を追いました。すぐに奥様が駆け寄ってきて、日浦選手はそれに優しく対応します。が、その後ろ姿は実に悔しそうでした。

 

 次のレポートは同じS1 PROクラスの他の選手についてです。

 
 

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