• RSS TAKAKIYA
  • YAMAHA
  • Sportsland SUGO
  • OFFROAD VILLAGE

2017.10.05

毎月5日は '今月の一行' /「人間万事塞翁が馬」

9月表紙
 
 

■今月の一行「人間万事塞翁が馬」
 

これ、ちゃんと読める人は少ないのではないかと。
そんなことないよ、この程度さすがに読めるよ、という人も
最初の二文字を「にんげん」と読んでいる人が多いのでは。
 
 

この諺を僕が知ったきっかけは1981年に出版された
青島幸男の「人間万事塞翁が丙午」というベストセラーでした。
これは「にんげんばんじさいおうがひのえうま」と読みます。
このタイトルが「人間万事塞翁が馬」のパロディだったわけですが、
その際に、読み方もちょっといじったパロディだったんですね。
 
 

元の諺は「じんかん ばんじ さいおうが うま」と読みます。
中国故事が元になっている諺ですが、中国では「人間」と書いて
世間、世の中という意味になります。ただ、それを「にんげん」だと
思っても、だいたいの意味は通じちゃうから問題にならないんですね。
 
 

この諺の他に、
「人間到る処青山あり」も
「じんかん いたるところ せいざん あり」と読みます。
よく「生きていれば、他にも運命の場所があるよ」
みたいな意味で使われていて、まあ間違ってもいないのですが
「人間」は先述のように「世間」という意味であり、
「青山」は墓地(骨を埋める場所)のことでして、元々は
世の中に骨を埋める場所などいくらでもあるのだから、
故郷を出て広い世界を知りなさい、みたいな意味です。
 
 

別にここで「これが正しい使い方なんで直そうぜ」みたいな
話をしたいのではなくてですね、世の中を「人間」って言うのが
面白いというかなるほどなというか、つまりは人と人との間、
コミュニケーションとか関係性で世界は作られているという
意味なんだなあと思って、非常に興味を引かれたのです。
 
 

あと、同じ文字を使っても違う意味になっているということ。
たとえば中国語で「手紙」と書けばトイレットペーパーです。
日本語で言うところの手紙は「信」といいます。「信」は日本では
confidenceみたいな意味合いですが、「人」に「言」ですから
まあ手紙という意味に取れるのもわかります。
 
 

その他にも「出世」と書けば日本語の「出生」か「出家」の意味ですし
(世間に出る、世間から出るという意味だから、これもわかりやすい)、
「暗算」と書けば「だまし討ち」という意味になります。つまり、
同じ形のもの(文字)を見ていても全然違うイメージが頭に浮かんでいる。
 
 

こういうことを考えていると、いつも浮かぶ疑問があります。それは
「僕が赤と言っている色は、他の人と同じ色だろうか」ということ。
(話がどんどんあっちこっちに行ってすみません)
 
 

10月表紙

 
 

リンゴの色だよとか、歩行者用信号の上の色だよとかいくら言っても
頭に浮かんでいるのが本当に同じ色なのかがわからない。たとえば、
僕とAさんは同じ色を「赤」と呼ぶわけですが(そこは当然一致する)
もしかしてAさんの頭に浮かんでいる色彩は、僕が紫色だと思っている
色かもしれない、ということです。だから、同じ世界を見ていても、
実は全然違う色に見えているんじゃないか、などと想像するのです。
僕とAさんは緑と赤がまるまるひっくり返ってるんじゃないか、とか。
 
 

これはもうどうにも確かめようがないんですよね。全然違う色に見えて
いたとしても、みんな「イチゴとリンゴは同じ赤だよね」という話で
一致してしまう。違う色を同じ名前で呼んでいるだけじゃないか?という
ことに関しては、どうにも確かめようがない。
 
 

コピーライターという仕事は、言葉を正確な意味合いで使うことを
求められる仕事なので、語源にあたるという作業を頻繁に行います。
そのたびにこんな風にいらんことをいろいろと考えてしまうもので
無駄な時間がかかってしょうがない。ですが、それはそれでまあ、
こんな風に文章を書くネタになったりすることもあるわけですね。
 
 

人間万事塞翁が馬というのはそういうような意味です。たしか。
 
 

P.S.
しかし「青山」が「墓地」という意味なら「青山墓地」ってのは
中国人にどう見えるのか、気になって仕方がありません。

 
 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
林 裕  Yutaka Hayashi
神奈川県鎌倉市出身。1995年慶應義塾大学環境情報学部卒、同年株式会社博報堂入社。2011年独立し、株式会社クラブソーダ設立。主な仕事に、田辺製薬「一本いっとく?」、CCJC「大豆ノススメ」、NTT東日本「エヌ山くんとティティ川くん」、SIREN:NT「羽生蛇村を求めて」、AKB48「前田敦子とは何だったのか?」、サッポロビール箱根駅伝「抜いてみろ。抜けるものなら」、海街Diary「家族を捨てた父が、のこしてくれた家族」等
林顔写真
 
 
 
 
質問ご意などお気軽にこのアドレスへ→ kondo@kondo-design.jp
KRAZyは情報の無料発信にこだわっています。
それは「これから」のファン、つまりお金を出してまでこの情報を得ることはない方々に向かった内容だからです。
活動資金は広告出稿料もありますが、グッズの売り上げにもたよっています。
もしよければ、グッズを年に1回購入いただけますでしょうか。グッズの販売は年に5〜6回、販売形態は通販です。
KRAZy GOODSページをご覧ください。
発行責任者:近藤正之

 

OTHER POST

Loading...