2021.03.27
毎月25日は「CMの裏側から」/ 本当に伝えたいメッセージはコピーにしない
■毎月25の日は「CMの裏側から」/ 本当に伝えたいメッセージはコピーにしない-25.Mar.2021-
25日を過ぎてしまいました・・・。この連載最近人気になってきたのですがなかなか手が回らず、アップが遅くなってしまいました。
「ユニ買って」というコピーだけのポスターがありました。
と言っても実際の広告ではなく、美術大学の学生の作品です。
三菱鉛筆の高級鉛筆「uni/ユニ」のポスターを作るという課題で作られました。
実はここにはいくつかのメッセージが込められていたように感じます。
・ポスターというと、ビジュアルがメインで伝えたい内容がイメージのみに感じる。コピーがメインのポスターがあってもいいのではないか?美術大学だからと言って、ビジュアルだけ考えていたらいいのか?
・なぜ素直に「ユニを買ってください」と伝えちゃいけないのか?伝えたいことは結局これでしょ。ビジュアルを使って、わざわざイメージに変換する必要はあるのか?
という2点です。
僕の記憶では、この作品は教授から認められ優秀作品となり学校に保管されたはずです。
実はこれ、自分の学生時代の話なんです。当時学内でも話題になったように記憶しています・・・学生にとっても非常にインパクトが強い作品だったからです。表現とは何か?の本質がここにはあるように思います。
※これを作ったのは今では非常に有名な方です。NISSINカップヌードル「hungry?」や80年代の美男美女がいっぱい登場するコカコーラのCMの演出をされた方です。
■CMなどの広告では本当に伝えたいメッセージはコピーにしない
このKRAZyを発信しているKONDO designの本業は広告企画などです。プロモーションにおいての表現一般をやっています。CMやポスター、ウェブ広告、またはパッケージデザイにHPなどの企画や制作です。Panasonic、TOYOTA、ASAHI BEER、JT日本たばこ、ミツカン、Loft、クリニーク、時にはミュージシャンやスポーツ団体などもやってきました。
上記の「ユニ買って」ポスターには、表現においてのいくつかの本質が隠されています。実は「ユニ買って」では広告にならない、ポスターとしては機能しないンです・・・。
でもそこに気がついたことに意味があるので、担当教授は優秀作品と認めたのだと思います。
広告ってなんだろう・・・というか表現ってなんだろう?この学生はここに疑問を持ったのだと思います。
▲「世の中のサラリーマンの皆さん、ケータイを持つことが普通の時代になってきましたよ。あなたもどうですか?最新のケータイが出ますよ」がこのポスターのメッセージ。1993年頃の広告です。・・・『サラリーマンは意外とタイヘン。てか、お父さんは意外とガンバってる。一見オカシナことに感じることまでやってガンバってる。困ってもガンバる。働く大人は偉いのです。そろそろ、そろそろケータイはいかがですか?』をビジュアルとコピーで表現し、共感をさそう表現です。登場するのはハリソン・フォードさん。他に金龍のラーメン屋さんで、スポーツ新聞読みながらサテンで休憩中、の3点シリーズ。関西限定の広告です。コピーは「ハリソン君○○○だ」で統一されていました。電波の届く範囲が拡張されたなら、このハリソン君が接待ゴルフするシーンをビジュアルに「ハリソン君、電波拡大」という具合。世界で一番困ってる顔が似合う人、ということでハリソン・フォードさんにお願いしました。「そろそろケータイ買いましょう。できればこっちのケータイを!」と直接コピーで伝えるより、共感を狙う表現で効果が出ました。3番手デビューでしたが一気にユーザーを獲得し2位に。
■「○○しよう」「○○してください」と伝えても、人はそのように行動しない。
広告というのはそれが広告とわかって見られています。「○○しませんか」とか「○○してください」というメッセージがそこにあることを知っています。この場合、人は素直にそのように行動するものではないようです。
ではどういう時に、今までにない新しい行動をするのでしょうか。
それは本人が自ら気がついたときです。もしくは、自分で気がついたと思った時です…。
そうなんです。自ら気がついたとき、、、もしくはそう誤解しているときなんです。
なので、「ユニ買って」というコピーをポスターにしても広告にはならない。つまりポスターとしては機能しないわけです。
今までは行わなかった新しい行動や習慣を始めるためには、強くココロを変化させなければなりません。勉強しなさいと言われてもしませんよね。それに似ているかも・・・。
ペプシマンは「ペプシを買ってペプシマンを集めよう」とは言いませんでした・・・、が多くの方がペプシを買いました。
▲こちらはお正月に掲載した新聞広告。読むタイプの広告ですが、多くの方に読んでいただきました。これは日本じゃなくカルフォルニアのスタジオです。
トップ画像のピアノはあるミュージシャン(正しくはバンド)のためにデザインしたものです。「ファン層の平均年齢を2歳あげたい、10代から20代にしたい。」がテーマのツアーでしたが、そこで使ったピアノです。大人の女性のための音楽とか20代向けのツアーとはひとことも発信していません。ツアーのコンセプトは「ネイチャー」。なのでこのツアーの象徴であるピアノは巨木から掘り出したようなデザインにしました。それまでのこのミュージシャンのイメージとは真逆のものでした。表現は極端にやらないと、ココロに届かないようです。
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KONDO design / 近藤正之
KONDO designは 広告企画と制作が主な仕事です。時には商品企画なども行ないます。Panasonic、TOYOTA、Suntory、Asahi Beer、ミツカン、Loft、Monster Energy、JT日本たばこ、などを担当。工業デザインではヤマハ楽器+小室哲哉のオリジナルピアノのデザインも。
KRAZy(クレイジー)はグッズ販売によって活動資金を得ています。広告収益の比率をさげ、広告クライアントからの影響力を受けない工夫です。
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