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2024.06.20

CYCLING A GO GO Vol.24「サザエさんのおうちの近くにあるカーボンプロフェッショナルのショップを訪ねてきました」

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■CYCLING A GO GO / サイクリング ア ゴーゴー Vol.24
「サザエさんのおうちの近くにあるカーボンプロフェッショナルのショップを訪ねてきました」
-20.Jun.2024- 

 毎月20日は、相良さんことMr.チャガラさんのロード自転車の連載です。Mr.チャガラさんは僕が会社員時代の同僚(Mr.チャガラさんはデザイン界の巨匠大貫さんと仕事をされていました)。今は独立し自転車ロードレース界でスポンサーシップ・エージェントの仕事をされており、最近自分でもロードレーサーを購入しロード自転車ライフを楽しんでいます。

 

 そんなMr.チャガラさん、今回は都内からのレポートです。サザエさん通りから。ああ、懐かしいなぁ〜以前はよく行ってたなぁココらへん。

 

1顔a

 
 

日本人の誰もが知っている架空の一家に、サザエさんでおなじみの磯野家とフグ田家があります。サザエさんが放送されて今年で50年(!)。登場人物は年を取ることもなく、家も建て替えで高層化されることもなく、どら猫は相変わらずお魚をくわえています。彼らの住まいは東急田園都市線の桜新町。そんなにぎやかな一家の邸宅から多分10分も歩かないところに、自転車業界では知る人ぞ知るドライカーボンの職人集団の東京拠点があります。Mr.チャガラがサイクリングに踏み込むきっかけをつくってくれたのは、何を隠そうこちらの社長さんです。今回はそんなご縁深き人のショップ訪問でございます。

 

■桜新町駅が最寄りだが、都内でレトロ感あふれる世田谷線の駅からも行けるのだ

 

世田谷はオシャレな場所という印象がある反面、昔から住む人にはそれには少し違和感と戸惑いを覚えることもあります。下高井戸駅と三軒茶屋駅を結ぶ東急世田谷線というのは2両編成の住宅街を走るのんびりしたバスのような乗り方をする「鉄道」があります。それは、すべてがスピードアップする現代に我関せず存在するホッとする存在。Mr.チャガラは普段乗る機会のない乗り物には乗りたくなるタイプなので、世田谷線経由でサイクル業界評判のカーボンのショップに行くことにしました。世田谷線はテッチャンには人気の存在のようで、沿線ではカメラを向ける人を良く見かけました。少し離れたところから欧米系インバウンドの集団が踏切を過ぎる私たちに向けて一斉に一眼やスマホでシャッターを切る様相は、少し前までは考えられなかった風景です。

 
 

2電車とチャガラ

下高井戸駅で乗車前の記念撮影、なかなかチャーミングですね。猫ちゃんもですが、ほら左側の人、左側の人の胸にいるカピバラさ。世田谷駅で途中下車して歩くと、駒沢まで出て遠回りしてしまい町の喧騒に出会ったりと、思ったより時間がかかりますが行けます。

 

■そもそもカーボンのプロフェッショナルショップって、何をしてくれるところ?

 

ショップの看板にあるCDJというのはカーボンドライジャパンの略ですね。ドライカーボンのパーツ製作や補修を得意としていて、本社は愛知県日進市にあります。で、東京拠点では具体的にどのようなサービスをおこなっているのかというと、ショップフロントにわかりやすく看板が出ていますね。

3オミセ

サービス品目の一番上に書かれている「ドライカーボン補修」というのは、高級サイクリング自転車フレームに採用されているカーボンフレームが何らかの理由でクラックや破損が起きた時に安全に安心して走れるようにリペアしてくれるサービス。でも自転車に限らずレーシングカーのカーボンパーツや高級スーパーカーのカウルとかもきれいに直してくれる、なかなかに頼もしい集団です。

 

4オミセの二人

 
 

この日、東京のショップでMr.チャガラを出迎えてくれたのは、早川社長(向かって右)とCDJ TOKYOの村田店長(向かって左)。このふたり、自転車のカーボンフレーム補修を中心にやっていますが、そこに至るまでの彼らのバックグラウンドはなかなかに興味深いです。早川社長はオートバイに心奪われそのままオートバイメカニックになりキャリアを開始。その後イギリスに遊学してヨーロッパをあちこち見て回ったり、LAでもクラシックバイクのレストア・メンテナンスをしたりと、2輪の安全のためのものづくりは筋金入りです。そのあとドライカーボンと出会いカーボンの特性を生かしたサービスをしています。村田店長もなんと20年前はモタードをやっていた(KRAZyの読者にはビビッと来ますね!)ということで、メカと動くこと、人馬一体のスピリットがここにも宿っています。
カーボンフレームの補修をビジネスとしておこなうことは一朝一夕でできるものではありません。これは、経験、ノウハウ、問題意識、チーム、さまざまなバックアップ体制、そしてチャレンジ精神がなくてはできないものです。今日はそんな彼らの雰囲気をあちこちで感じることになります。

 

「あれ?今日は自転車じゃないの?」という早川社長の問いに「さすがに愛知から乗ってくるのはねえ~」と歯切れの悪い返事から始まった挨拶ですが、ようやくスケジュールがあって実った取材です。先進の技術とサービスの話が聞けそうだと、ウキウキのMr.チャガラ。

 
 

5-6-7 3コマ

店内は自転車関連のアイテムがたくさん!有名選手のサインありジャージとか、東京オリンピックのロードレースのゼッケンだかフラッグだかとか、オリジナル塗装のフレームとか、とまあ、やはりここはサイクル関連ショップなのね。

 

8-9 2コマ ホイール

なんで、タイヤのホイールがあるの?目立ちますからね。よく見るとアルミホイールの見える部分を中心にカーボンを巻いています。これ1本20万円として4本で80万円!ショエ~!どういう人が頼むのかと聞けば、フェラーリオーナーという回答が。結構、需要あるようです。右はビッグプーリーキット。これを自転車後輪のギアのあたりにある部品と交換すると、きつい坂でより気持ちよく登っていけたり、自転車の平均走行速度を上げることができます、
 

10-11 レインボーパーツ+箱入り

ビッグプーリーは、さまざまな種類や上級の自転車との互換性ある部品を選ぶだけでなく、自分でカスタマイズしたカラーにしてもらうことも可能です。

 

12-13 彫刻と塗装見本?

左側の塗装、下地に特殊な液体を塗り表面にクラックを発生させてできたところに新たにカラーを流し込む。だから、ひとつとして同じ文様は生まれない完全一点ものカスタムカラー。オートバイで使用するのと同じトップブランドを使って自転車を塗装するのだから、ほかのサイクリストとアピール度が圧倒的に違うマイバイクに仕立てられます。

 

■もうちょっと店内を探索してみましょう、となりの晩御飯ではありません。

 
プロ自転車選手も利用しているビッグプーリーですが、ほかにも店内を見るとサイクリストには助かるサービスがあります。自転車の洗車サービスは最近はやりです。「自転車洗うのって、自分で石鹸水で磨いてシャワーかければいいだけじゃん」と思っているあなた、ぜひそうしてください。風呂場で洗うと油は飛び散り、泥や汚れも思った以上に湧き出てきて、しかもその風呂場に飛び散った汚れを落とすのは簡単ではない。汚れを残そうもんなら夫婦間のいさかいの原因となり〇婚問題に発展します、むふふふぅ。

 
 

14洗車場マシン

ここが洗車場。風呂場のようにも見えるけれど、そこにはきれいを保つさまざまな工夫が。

 

12-13 彫刻と塗装見本?

いろいろな工具が並べられていてプロフェッショナル感がにじみでてきます。世田谷ベース的なおもちゃ箱感もあります。右側の皮がむけたパーツは不良品ではありません。新品のパイクパーツを先進のラバーコーティング技術でコーティングしたものをわざと実演ではがしています。ラバーコーティングは自己修復力もあり簡単な傷は消えます。そして何よりも、バイクフレームを細かな傷から守り、例えばさんざん乗りまくったあとに中古バイクで売りに出すときにこのラバーコーティングをはがすと、あら不思議、下からは新品同様のフレームが現れます。高級車 新品購入 即施工。575で整いました。

 

■本日のメインディッシュは、カーボン非破壊検査

 

非破壊検査というと古い橋げたや高速道路を支える柱の強度を調べるときのアレですね。ハンマーでカチカチとコンクリートをたたきながら空洞とか腐食がないかと調べ、超音波測定器を使って具体的な場所を特定します。自転車のカーボンフレームは大変高価なので、転んだからとか塗装にひびが入っているけどどこまでやられているかわからないから不安だ、となっても簡単には買いかえられないし不安のまま乗ると大事故につながりかねません。そこで原始的なチェック方法はコインチェック(暗号通貨取引のことではない)といってハンマーではなくコインを使ってフレームをたたいて音の変化で判断する方法があります。でもそれは不確実性が高く、塗装の下のカーボンフレームの状態を正確に確認することができません。そこでCDJ TOKYOで実施しているのが「超音波深傷診断」と「赤外線診断」です。

 
 

17-18計測器

これは超音波深傷診断の実演。ひびの入っているカーボンフレームに超音波をあてます。左側はひびのない部分に超音波を当てた時の反応。計測機器に波形と数値が出てきます。右側がひびの部分に超音波をあてた時。数値が出てこないし波形も出るべき場所に出てきません。いま超音波をあてている場所がひび割れの場所だと特定できます。地道にフレームのあちこちを計測して探し出す作業です。結構大変そう。計測機器も高価です。航空機のメンテナンスの際にも活用されています。CDJ TOKYOではさすがに航空機は対応していません。飛行機を246に着陸させなければなりませんからね。

 

もうひとつの非破壊検査が「赤外線診断」です。こちらは相当にスゴイです。なぜなら赤外線診断の同じシステムを導入しているのは航空機製造メーカーや一流自動車メーカーぐらいということで、それを一般の自転車向けに機器をそろえて検査のノウハウをためているのは、間違いなくここCDJ TOKYOだけです。とても機器が高いということですねん。

 
 

19作業

検査対象のフレームにむけて検査機器を設定中の村田店長。自転車ショップでこのシステムをオペレートできるのは彼ただひとり。あの光線を発する機械が高いのかあ~、と感心していたらこれは熱源を発生するだけだから別に高くないといわれました。本当に高いのはパソコンの中に入っているソフト。

 

20-21 モニターガメン

これは赤外線カメラでとらえた画像、熱の残り具合を何千枚か撮影したものを解析し、それを経験に裏打ちされた設定であぶり出し、見えない損傷部分や構造物の精度を検証します。熱の記憶を追いかけて画像を基に社長と店長が意見を交わし深堀していきます。

22温度モニター

カラーでも画像を分析します。ちなみにこのフレームの中央部分にある緑色のヨコに流れる線がカーボンが割れている部分です。ほかにもこの画像で読み取れることがあるようですが、細かくなるので割愛。

 

この画像解析診断をおこなうプロセスは、レントゲン検査で肺に影があることが疑われた親族を病院に同行した時に、お医者さんが説明してくれた話を思い出します。彼らは画像を基にどのようなプロセスで主治医と別の医師との連携で意見を交換して病名を確定していくかのということを説明してくれましたが、それが赤外線診断と全く同じプロセスなことに、畏敬の念を覚えました。そうか、CDJにはふたりのカーボンフレームのドクターと本社工場には修理を担当する外科医、そして塗装をおこなう整形皮膚科医がいるカーボンフレームの病院だったのか、と。自転車のカーボンフレームの「診断」「補修」「塗装」をワンストップで責任もって面倒を見てくれるのは、実はなかなか巷で見かけることがないサービスです。
より詳しい情報はホームページを見てください。愛知県企業あるあるのキャッチコピーから始まります、ふふ。
カーボンドライジャパン/CDJ TOKYOのURL: https://carbondryjapan.com/

 

■カーボンが中心だけれど自転車が好き、でもやっぱりカーボンが命

 

23-24 ドロップチャリ

 

25サドル

この自転車はデッドストックの新品クラシックバイク。1988年のモデルのクロモリ鋼仕上げ、カッコいい。マニアックなんだなあ。

 

ショップでインタビューをしてあちこち写真も撮っていたので確実に視野に入っていたのですが、完全にスルーしたアイテムがあります。カーボン製の鎌、その名も「KUSARIGAMA 3X3」。この人たち、カーボン変態さんです。記事を書くときに改めて取材先のホームページを確認したりしますが、確かにこの鎌もショップにあった!でも、考えてみればカーボンの鎌はメイク・センス、理にかなっています。Mr.チャガラも時々山の中や畑に行って雑草に立ち向かう瞬間がありますが、そんな時カッコいい道具があると仕事の効率が上がります。あ、変態さんとつい言ってしまいましたが、伝統の工具メーカーとのコラボのようです。

 
 

20-21 モニターガメン

グリップ3タイプで使い勝手よさそうなKUSARIGAMA 3X3。(画像は通販サイトより勝手に借用)

 

■最後は桜新町案内です

 

CDJ TOKYOの周りにはコインパーキングや路上チケットパーキングもあり車で行くのも便利です。246の駒沢より西側は商店も減り少しずつ静かになるエリア。桜新町に向かっていけば週末はよそから散歩に来た人たちがカメラ片手に和やかに歩いています。

 
 

ラストのサザエさんとチャガラ

ショップの近くにはいつも夏になると怪談の話で盛り上がるタレントさんがオーナーの手打ち蕎麦屋さんがあります。その日の蕎麦粉の産地と打ち手の名前が入り口に書かれています。そして、桜新町駅の入り口にはサザエさんキャラクターがいます。波平さんを探しましたが見つかりませんでした。時々一本毛を抜かれる事件がおきるらしい。

 

※アップ後に社長様から訂正の連絡が!KUSAKARIGAMA 3X3は、コラボアイテムではなく完全オリジナルなんですって!!やっぱりカーポン変態さんです。

 
終わり

 

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KRAZy/クレイジーはKONDO designが運営発信しています。KONDO designでは広告企画と制作(ポスターやCMなど)および商品企画開発などを行っています http://www.krazy-web.com/custom/krazy_kondodesign-2/
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KRAZy発行責任者:近藤正之/KONDO design

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